敦賀の東浦みかん – 福井新聞



振興策次々、観光化に期待

2017年9月20日 午前7時30分

 【論説】敦賀市の「東浦みかん」振興に向けて産地を盛り上げる取り組みが出てきた。高齢でやめる生産者に代わって作業を担う特産化組合が6月に発足。人手不足の解消や福祉向上を目指す市の「農福連携」もスタートした。市と県の補助を受けて観光ミカン園の整備を目指す動きもあり、敦賀の冬の観光資源化に向けて期待が高まっている。

 東浦みかんの生産者は年々高齢化し、生産量は減少している。しかし近年、洋菓子やゼリー、ビールなどさまざまな加工品に使われている。ミカンそのものも、温暖化や品種改良で甘さが増し人気が出ている。昨シーズンは供給が追いつかなかったほどだ。

 東浦みかん特産化組合は、会社を定年退職した地元住民らでつくる。摘果などミカンの木々を適正に管理し、年によってばらつきがある生産量の安定確保に努める。管理はJA敦賀美方から請け負う。さらに、かつて働き場を求めて地区を離れた人が東浦に戻るときの受け皿にもしたいという。過疎化に悩むふるさとを特産のミカンを通して活性化しようという思いだ。

 市はミカンの摘果や収穫など手間がかかる作業について、これまで市民ボランティアを募ってきた。地元の東浦小中の子どもたちも、ふるさとの伝統や良さを学ぼうと、作業体験を行っている。

 ただ、高齢化は進み、市は市内の障害者就労支援施設「ワークサポート陽だまり」と契約し、本年度から農福連携サポート事業を始めた。7月には摘果作業が行われた。農家にとっては人手不足の解消につながり、障害者には市から農作業委託費として賃金が支払われる。双方にメリットがあり、今後の収穫シーズンでも行われる。

 一方、観光ミカン園は、JA敦賀美方東浦みかん部会が同市横浜で整備を目指す。市と県が休耕田への盛り土など初期投資費用に補助する考えで、市は9月補正予算案に600万円を盛った。県の補助は300万円。5年計画で1ヘクタールのミカン園を計画しており、大型バスで大勢の観光客が訪れることを期待したい。

 東浦地区は江戸時代からミカンが栽培されてきた。明治中期には敦賀湾からロシアのウラジオストクに全国のミカンが輸出されるようになり、東浦みかんも輸出したといわれている。歴史を背景にしたブランド力を持っている。

 同地区阿曽などには、堅固な石垣で区切られた段々の田畑が広がる。ただ、耕作放棄地も目立ち、山に足を踏み入れると、イノシシなどが通って崩れた石垣も目立っている。敦賀湾を望む風光明媚(めいび)な場所で育つ東浦みかん。産地を再興する取り組みに注目したい。

 

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