米国のエルサレム首都認定に注目すべき理由 – ロイター



[エルサレム 6日 ロイター] – トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブにある米大使館を移転すると発表した。歴代の米政権が混乱回避のために続けてきた政策措置を、西側各国やアラブの同盟国による警告にも関わらず転換したことで、中東地域のバランスを揺るがす恐れが浮上している。

 12月6日、トランプ米大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブにある米大使館を移転すると発表した。エルサレム旧市街で撮影(2017年 ロイター/Ronen Zvulun)

●なぜエルサレムを首都認定して大使館を移すのか

米国内では長年、親イスラエル派の政治家が大使館のエルサレム移転を主張し続け、トランプ大統領も昨年の大統領選で公約に掲げていた。

今回の決定は、大統領の支持基盤である保守派やキリスト教福音派に受けが良さそうだ。決定の背景には、ペンス副大統領や熱烈な親イスラエル派で知られるフリードマン駐イスラエル米大使の強い要望があったと見られている。

トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都として正式に承認すると発表した。同盟国や政権内部からも異論が相次ぐ中、あえてこうした決断に踏み切った背景には何があるのか。

●なぜエルサレムが中東地域安定に重要なのか

宗教、政治、歴史の3点が絡む。

エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大一神教の聖地であり、いずれの宗教にも重要な意味合いを持つ名所を抱える。

数千年前から原住民による争いや、ローマ軍、十字軍、オスマン帝国や大英帝国による侵略が続き、現在はイスラエルとアラブ近隣諸国が対立している。

現在のイスラエル政府はエルサレムを「不可分の永遠の首都」と位置づけるが、国際社会は首都とは認めていない。

一方でパレスチナ自治政府は、イスラエルが占領する東エルサレムを国家樹立の際の首都と位置付けている。

エルサレム旧市街には、ユダヤ教の「嘆きの壁」、イスラム教の「アルアクサ・モスク」「神殿の丘(イスラム名ハラム・アッシャリーフ)」などの聖地が並ぶ。キリスト教徒にとってもイエス・キリストが教えを述べ、処刑され、復活したとされる地があるなど、最大の巡礼地となっている。

●現在の位置付けは

過去にはエルサレムに大使館を設置していた国もあったが、いずれも移転した。隣国ヨルダンは現在も、エルサレムにあるイスラム教聖地を管理する役割を果たしている。

●次の焦点は

エルサレムでの緊張は常に高く、過去にもたびたび衝突が起きている。今年7月には、イスラエ警察部隊2人がパレスチナ人に銃撃された事件をきっかけに、イスラエル側が聖地の入り口に警備強化のため金属探知機を設置。死傷者が出る衝突に発展した。

最近もパレスチナ側が抗議行動を呼び掛け、中東のアラブ諸国も米国による一方的な動きは中東の混乱につながりイスラエル・パレスチナ和平交渉の再開を妨げると警告していた。



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