「ストロボ・エッジ」(新潟・新発田高) – 産経ニュース



 ■「壁ドン」聖地 当時の生徒も思い出作り

 さんさんと照りつける太陽とコバルトブルーの空の下で自由奔放に駆けめぐり、ときには胸が締め付けられるような、ほろ苦さに悩み苦しむ-。そんな甘く切ない若者たちの青春を描いたのが、平成27年に公開されて大ヒットした映画「ストロボ・エッジ」(広木隆一監督)だ。

 今や押しも押されもせぬ人気俳優となった主演の福士蒼汰さんと有村架純さんが劇中で通うのは、架空の「神奈川県立光陽台高校」。ところが、ロケ地には新発田市の県立新発田高が選ばれた。明治29(1896)年の創立から120年余の歴史を持つ伝統校で、平成21年に3代目の現校舎が完成。校舎内は開放感あふれる吹き抜け式で、1階のホールと2階を結ぶ大きな階段が印象的だ。

 撮影に協力した県フィルムコミッション協議会の田中克典氏(61)によると、制作会社から学校選びを要請され、旧二葉中(新潟市中央区)の校舎や長岡造形大(長岡市)のキャンパスも候補に挙げた。ただ「広木監督が吹き抜けを気に入り、新発田高に決まった」(田中氏)という。

 このほか、新潟市の「どっぺり坂」や花火が打ち上がる長岡市、大型の風力発電機が立ち並ぶ胎内市の海岸など県内各地がロケ地に選ばれた。

 26年8月に行われた撮影当時、学年主任だった教務主任の渡辺秀志(しゅうし)教諭(49)は、自分が教鞭(きょうべん)を執る学校が舞台になると聞き、最初は「普通の学校なのに?と、ピンとこなかった」と振り返る。しかし、撮影が始まると、裏方のスタッフたちが飾り付けを施し、出演者たちが気持ちよく過ごせる空間に校舎が作り替えられていく様子に目を見張ったという。

 それまでにも同校には撮影の依頼があったものの、授業などの関係から断っていた。ストロボ・エッジの撮影は夏休み中だったことで実現した。

 映画では優しくてハンサムな高校生、一ノ瀬蓮(福士さん)に同級生の木下仁菜子(になこ)(有村さん)が恋心を抱く。モデルの彼女がいる一ノ瀬とは友達の関係にとどまり、笑顔で我慢しながら苦しむ木下。一ノ瀬の友人で性格の軽い安堂拓海(たくみ)(山田裕貴さん)が木下に猛アタックする-といった展開を軸に進む。

 新発田高の当時の1、2年生や教職員らも、光陽台高の「その他大勢」の生徒や教諭らをエキストラとして演じた。受験を控えた3年生は、クライマックスの文化祭の場面にだけ「思い出作り」として参加したという。

 木下の思いはかなうのか-。映画では福士さんが有村さんの行く手を「壁ドン」でさえぎる場面を経て事態が急展開する。新発田高で取材中、自習や部活動に励んでいた生徒たちに、最も印象に残るシーンを教えてもらったところ、口をそろえて「やっぱり、壁ドンでしょ」。壁ドンの聖地となった教室に足を踏み入れた。生徒の持ち物があちこちに置かれ、何の変哲もない普通の教室だ。ここで青春の壁ドンが…。

 「ロケ地となることで校舎の魅力に気付かせてもらった。この明るい校舎は、これからも生徒たちに何かを教え続けてくれるでしょう」。男子校で灰色の高校生活を3年間過ごした記者の思いとは関係なく、渡辺教諭は感慨深げに語った。 (太田泰)

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 風光明媚(めいび)な景色や魅力的な街並み、由緒ある名所が数多い甲信越や静岡の県内には小説やアニメ、ドラマの舞台となった地域が少なくない。東京から比較的近い利便性の高さもあり、近年は映画のロケ地に選ばれるケースも増えている。作品に登場し、知る人ぞ知る「聖地」となったスポットを記者が訪ねた。

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 ■メモ 原作は「別冊マーガレット」(集英社)に平成19~22年に連載された咲坂伊緒氏の少女漫画。単行本のコミックは全10巻あり、累計530万部を突破する大ヒット作となった。映画は東宝が製作し、平成27年3月に公開。日本映画製作者連盟によると興行収入は23億2000万円。




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