農家「直売」企業が支援 – 読売新聞



 ◇自由な価格、販売先/集荷と販路サポート

 農産物販売を支援する新興企業「農業総合研究所」(和歌山市)を利用する農家が広がっている。JAや市場を通す従来の流通と直売所販売の長所を取り入れ、農家が自由に価格や販売先を決められる仕組みが支持されている。消費者と生産農家が交流できるアプリも開発中で、同社は「農家の顔が見える農産物を届けたい」としている。(久米浩之)

 「私が育てた野菜です。試食していって」

 12月3日、大阪府吹田市のスーパー「阪急オアシス南千里店」。ミカンやトマトなど約60種類の農産物が並ぶ直売コーナー「農家の直売所」で、紀の川市の農家4人が自慢の野菜や果物をアピールした。包装には生産者の名前が表示され、近くの主婦古川静子さん(73)は「新鮮で安いのでありがたい。おいしい農家を選んで買っている」と喜ぶ。

 同社は全国71か所の集荷場から登録農家の農産物を出荷し、契約スーパー1025店の直売コーナーで委託販売する。JAや市場のように出荷をサポートして販路を確保しつつ、中間業者を減らして店頭に並ぶまでの時間や手数料を省いて新鮮さや低価格を実現。2012年度に約2000人だった登録農家は直近で約7000人に急拡大している。

 価格や販売先は、農家がパソコンやタブレット端末を使った同社のシステムでバーコードを発券して自由に決められる。品目ごとの平均価格もわかり、紀の川市上丹生谷のミニトマト農家山下栄子さん(70)は「努力や工夫のしがいがあるし、手取りもいい。『山下』の名前で選んでくれるなじみ客もできてうれしい」と歓迎する。

 07年に農業の“流通革命”を掲げ、同社を設立した及川智正社長(42)は「服や小物は『ルイ・ヴィトン』などのブランド名で選ばれるのに、農産物は品種や産地で一緒にされる。消費者との距離を縮め、農家の名前で農産物が売れる仕組みを広げたかった」と話す。

 同社は農産物のラベルにスマートフォンをかざせば、生産農家の情報や栽培時の動画、お薦めのレシピなどが表示されるアプリを来春公開する予定だ。農家にメッセージを送ることができる機能も備える計画で、及川社長は「出荷したら終わりではなく、農家に感謝の気持ちや要望が届くようにしたい」と意気込んでいる。




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