農家の収益を3割改善するアプリがハードへ進化 – ASCII.jp



北海道に最先端Techを実装!「No Maps 2017」レポート
第19回

No Maps:ASCII STARTUPブースレポート

2017年10月13日 17時30分更新

文● 北島幹雄/ASCII STARTUP

「AgriBus-NAVI(アグリバスナビ)」

 北海道発のアグリテックベンチャーが、ハードへの挑戦を進めている。

 「先端テクノロジーや新しいアイディアを軸としたビジネスコンテンツ」が凝縮されたNo Maps。札幌駅近くのACU-Yにて開催された「No Maps Trade Show 2017」のレポートとして、北海道発の注目スタートアップをピックアップする。

アプリ導入によって3割ほどの手取り収益改善

 農業情報設計社は、帯広を本拠に「AgriBus-NAVI(アグリバスナビ)」という農業用カーナビアプリを中心に事業を展開している。

農業情報設計社

 AgriBus-NAVIは広い畑や田んぼでの農作業時にトラクターを真っ直ぐ・等間隔に運転して効率の良い作業をアシストしてくれる、農家のためのトラクター運転支援アプリだ。投入することで、肥料や薬剤、燃料を低減し、農業生産の収益向上に貢献する。

 農業情報設計社の濱田安之代表取締役CEOによれば、アプリの導入によって、5~10%ほど、肥料面でのコストが安くなるという。トラクターを使うような畑作農家にとって、このコスト改善は収益に直結する分野であり、アプリ導入によって3割ほどの手取り収益改善が見込めるという。

GPSと連携したタブレット端末

 使い方は非常にシンプル。GPSと連携したタブレット画面表示を見ながらトラクター操作をすることで広い圃場(田畑)内でもまっすぐ等間隔に作業ができる。

 さらに、圃場情報、作業履歴、機械の調子なども自動記録しクラウド上に保存、閲覧ができる。緯度経度以外にも高度測位も行なうことで、畑のメンテナンス改善=収穫改善につなげるようなデータが提供されている。

 リリース時は農家の間の口コミであっという間にグローバルレベルで広がり、アプリ上での走行距離は月に3万9000キロにもなっている。ファーミングとGPSのニーズは相当高いようだ。

頑丈タブレットPCを活用している

 もともと濱田代表は10年前、自動運転のトラクターを開発していた経験を持つ。畑における自動運転は、通常の自動車などに比べれば容易だが、重要なのは経路の部分となる。「種まきを目視のみで行なうのは難しく、前後を常に見ながら、周囲にある木など基準に目測でしか測れなかった。(ベンチャーとして)アプリから入ったのは、人間が楽にできる技術が出てきたことから」(濱田氏)

 計測にはタブレットのGPSを利用しているが、精度を上げることでより分析できるデータも精細となる。そのため、現在はハード進出のための開発を進めており、そのプロトタイプが展示されていた。GPSについても、1万円か30万円かの2択しかないため、中間層でのニーズに応えるつもりだという。

GPSと農業機械との通信機能を併せ持ち安価で多機能な利用が可能

 アプリとしてはすでにリリースから3年半が経過し、技術的には熟成している。ハードウェア以外にアライアンスなども進んでおり、ハンドルを自動で切れるデバイス「AgriBus-AutoSteer 」を大手メーカーである三菱マヒンドラ農機と共同開発中だ。一千万円単位レベルのコストを数百万レベルに抑えた形での提供を目指すという。

 濱田代表によれば、全世界的にトラクターなどの農機具は、これから先全自動で動くものになる見込みで、現在はその過渡期にある。マーケットとしては世界市場を狙う同社の今後が楽しみだ。

農業情報設計社の方々

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