福井の食 農家から発信 – 読売新聞



 ◇越前市・田中さん 県の研修受けカフェ

 全国に1400店以上あるとされる農家レストラン。県が研修を開くなど力を入れ、近年開業が相次いでいる。受講生の一人、越前市の田中滋子さん(58)は昨秋、武生中央公園内に県内でも珍しい米粉のピザやパンを扱う農家カフェをオープンさせた。37年前に都会から農家に嫁ぎ、地元産白米に魅了されたのが原点だ。「福井の食文化は質素だが魅力的。食ビジネスを通じて外に発信したい」と語る。(中田智香子)

 「バジルじゃなくてホウレンソウ。ピザソースはあまり使いません。地元の食材を味わってほしいので」。イタリア製のピザ窯で焼き上げるのは、米粉、トマト「越のルビー」、ホウレンソウなど県産食材が詰め込まれた米粉ピザ。「毎日食べても飽きない」「冷めてもおいしい」と評判を呼ぶ。

 関西の都会に育ち、小麦粉の「パン派」だった。しかし、1981年に現越前市の農家の男性と結婚すると、「色々と混ぜず、1枚の田の米だけで炊いたご飯のおいしさに驚いた」。今立町役場(当時)で米粉研究事業に携わるようになり、調理法の開発に没頭した。

 2005年に自治体合併で研究事業が廃止になると、田中さんは、米粉のパン店を開業。同じく廃止になったグリーンツーリズムの事務局も引き継いだ。

 自ら企画した農村体験で、都会の家族は「毎日こんなおいしいご飯を食べられるなんて」と感動し、子どもたちは苦手だった野菜をほおばった。「福井の人が地元の魅力に気づくためには、外からの『すごい』が必要」と発信への思いを強めた。

 米だけではない。おろしそばや丸焼きサバといった郷土料理も「懐石料理のような華やかさはないが、日本食の基本を押さえた力強い素朴さがある」と感じた。

 16年に越前市で地場産の米や野菜をふんだんに使うレストラン、17年9月にはカフェを開業。「シンプルで日本人にあった福井古来の食」を土台にメニューを開発し、同12月半ばから現代風にアレンジを加えた米粉ピザの販売を始めた。

 16年に1期生として参加した県の研修では、成功した農家レストラン経営者らからノウハウを学んだ一方、一部の店では地域の高齢者がボランティアで働いていることも知った。「若者が働ける場所として定着させるためにも、しっかりビジネスとして成り立たせないと」と意気込む。

 ◇事例や計画学び5人が新規開業

 県による研修は、地域資源を生かした農家民宿やレストランなどの経営者向けに16年度にスタート。田中さんも含めた1期生は4コース延べ64人で、8か月にわたって月に1度程度、県内外の講師から成功事例や事業計画の作成などを学んだ。参加者には既に自分の店を持っている人もいたが、県によると、研修を機に既に5人が新規開業した。現在は2期生が学んでいる。




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