「花子とアン」(韮崎・北杜) – 産経ニュース



 ■放送終了3年 今も「はな」に会いたい

 NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」の主人公は、モンゴメリの小説「赤毛のアン」を日本に初めて紹介した甲府市出身の翻訳者、村岡花子(ドラマの役名は「安東はな」、以下はな)。県内のロケ地は、番組オープニングで登場する山梨県八ケ岳少年自然の家▽はなの生家のセットや教会として登場した明治期の蔵座敷がある韮崎市民俗資料館-などが知られる。放送終了から3年。ロケ地には今も「はな」に会いに訪れる人の姿がある。

 八ケ岳少年自然の家(北杜市高根町清里)は、中央自動車道須玉インターチェンジ(IC)から車で約30分、JR小海線の清里駅からは徒歩約15分。放送開始の半年前の平成25年11月、はな役の女優、吉高由里子さんら約20人のロケ隊が、オープニングの映像収録で現地を訪れた。

 「寒いですね」。撮影に立ち会った職員の浅川孝子さん(58)は、吉高さんと短い会話を交わしたという。「顔がすごく小さくてきゃしゃな感じでした」

 ロケ地は富士山を望む標高約1240メートルの八ケ岳の中腹。浅川さんは「番組効果で26年の来場者は前年より約2200人増えました」。今も毎月、数人がロケ地目当てに訪れるという。

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 縄文期の土偶や土器などを展示する韮崎市民俗資料館(藤井町南下條)は、中央自動車道韮崎ICから車で約15分。棚田が広がる甲府市上帯那(かみおびな)町に建築された生家のセットが放送終了後、同館へ移築された。

 学芸員の名取美穂さん(38)は「当館の明治期の蔵座敷が、ドラマではたくさんの本を所蔵する教会として、重要な場面で登場したため、県、市、NHKが移築を決めました」と説明する。

 翻訳家「はな」の原点は無類の本好き。はなと本との出合いがこの教会だった。はなの人生を決めた東京のミッションスクール「修和女学校」へ入学するための洗礼もここで受けた。ただ、ドラマでは蔵座敷の中を模して作った撮影セットでの収録が多かったという。

 全編を通じて印象深いシーンのひとつが、後に結婚する村岡英治とのかなわぬ恋を断ち切ろうと、村岡から贈られた英和辞典を、はなが教会の窓から投げ捨てようとする場面だ。「昔からはなが好きだった幼なじみの朝市(あさいち)が、はなの村岡への思いを察して、自暴自棄になったはなを諫(いさ)めるシーンは切ないものでした」(名取さん)

 同館の年間来場者数は、放送年の26年度が前年の約20倍の1万8千人。28年度は約5倍とドラマ効果が続く。県内にはほかに、子供時代のはなが通ったブドウ農園(サントリー登美の丘ワイナリー、甲斐市大垈)や、はなの父、吉平が演説した神社(八坂神社、甲州市塩山藤木)など隠れたロケ地もある。(松田宗弘)

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 風光明媚(めいび)な景色や魅力的な街並み、由緒ある名所が数多い甲信越や静岡の県内には小説やアニメ、ドラマの舞台となった地域が少なくない。東京から比較的近い利便性の高さもあり、近年は映画のロケ地に選ばれるケースも増えている。作品に登場し、知る人ぞ知る「聖地」となったスポットを記者が訪ねた。 




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