笑顔乗せ、モノレール「還暦」 「上野動物園」日本最古1分半の旅 – 東京新聞



 雌のジャイアントパンダ「シャンシャン」の誕生に沸く上野動物園(台東区)で、東西の区域を結ぶモノレールが昨年12月、開業60年を迎えた。全長わずか330メートル、ダイヤ上の所要時間は1分半と、日本最古で最短の記録を持つ。子どもたちの笑顔を乗せ、ゆるりと走り続けている。
 モノレールの正式名称は「上野懸垂線」。遊具ではなく鉄道事業法に基づいた、れっきとした交通機関だ。戦後、新たな交通手段を模索していた都交通局が実験線として建設し、一九五七年十二月十七日に開業した。
 二両連結の車両は一般的なものより小さく、一度に乗れるのは五十人ほど。発車ブザーとともに動きだすと、子どもたちの歓声が上がる。通常は時速十三キロほどで進むが、東園と西園の間にある都道の上や不忍池が見える位置に差し掛かると、運転席の永田一秀駅長(62)は速度を落とした。「『楽しかった!』と降りていく子どもの笑顔が見たいからね」
 財政難や老朽化で過去に二度、廃線の危機もあったが、子どもの声に押され存続された。入園料とは別に運賃(二歳以上の小児八十円、中学生以上の大人百五十円)が必要だが、今も人気は健在だ。最近は外国人客も増え、年間約百万人が乗車し、休日には行列も。第二十五代の永田駅長は「ここでデートした」「遠足で来た」といった声を聞くたび、「歴史を感じる」と言う。
 香川県東かがわ市から家族旅行で訪れた浜松美月さん(9つ)と樹君(4つ)は「空中に浮いてるみたいで面白かった」とにっこり。シャンシャン観覧の抽選には外れたが、父直樹さん(35)は「『またここに来たい』という思い出ができた」と喜んだ。
 ホームを出発する車両に、永田駅長らスタッフは笑顔で手を振り続ける。「これが代々、駅長に伝わる決め事なんです」。きっと、子どもたちの楽しい記憶がまた一つ増えたはずだ。

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