山陰中央新報社|兄弟切り取る故郷・浜田の記憶 郷土資料館で写真展 – 山陰中央新報



60年以上にわたって浜田市内で写真を撮り続けた神山晋さん(右)と典之さん(左)の兄弟

 島根県浜田市内の写真館に生まれ、60年以上にわたって地元にレンズを向けてきた神山(こうやま)晋さん(93)と典之さん(89)の兄弟写真展が15日、同市黒川町の浜田郷土資料館で始まる。1940~50年代の活気ある浜田の様子を中心に、町を襲った災害の記録など兄弟で撮りためた作品や写真機材など計153点が並び、町の記憶を伝える。

 2人は同市紺屋町にあった神山写真館に生まれ、晋さんが2代目として継いだ。典之さんは49年ごろから、境港市を拠点にする世界的写真家の故・植田正治さんに師事し、写真の腕を上げた。2人によると、終戦直後は、カメラ1台の値段は家が新築できるほど高価。カメラを持つ人は少なく、2人はそれぞれ、町を熱心に歩き、祭事や風景などの撮影に打ち込んだ。

 晋さんは「にぎわいを写しておこうと思った。新町に店を持つと『大したもんだ』と言われた」と往時の商店街の写真を懐かしむ。

 災害も記録した。晋さんは、63(昭和38)年の38豪雪で、家屋の2階まで雪に埋まった旧弥栄村(現浜田市弥栄町)の杵束本通りの写真を保存していた。「お客さんが現像を依頼した写真で、自分用に1枚多く現像した」という。

 典之さんは、58(同33)年の水害で流失した相生橋近くでシャッターを切った。「多くの人が家から逃げ出すので精一杯で、写真を撮ろうと思う人は他にはいなかった」と振り返る。

 2人の撮影の関心は、浜田にコーヒー文化を根付かせた故・三浦義武さんが経営した同市紺屋町の「喫茶ヨシタケ」跡や廃校になった原井小学校など解体前の建物に広がり、会場に並ぶ多彩な被写体の作品から、浜田の町の移り変わりも見て取れる。

 写真展は12月10日までで、開館時間は午前9時から午後5時まで。祝日以外の月曜日が休館で入場無料。


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