できたてビールをその場で お勧めブルーパブ(上) – 日本経済新聞



 クラフトビールの人気が盛り上がっている。クラフトビールの専門サイトを運営している筆者の集計では、クラフトビールをドラフト(樽詰め)で提供する専門店が、東京及び近郊で、330店舗以上ある。中でも、最近特に目立っているのは、「店内で醸造したクラフトビールがその場で飲める」という、ブルーパブ(BrewPub)だ。今回と次回の2回に分けて、是非訪問して欲しいおすすめのブルーパブを7店舗紹介する。

 ブルーパブならではの醍醐味は3つある。

1.ビールを醸造する場所と飲む場所が同じなので、ビールのコンディションが良い。醸造所で飲むビールはおいしい。
2.そのお店でしか飲めないオリジナルレシピのビールが飲める。一期一会。
3.ブルワー(醸造家)がいるお店では、ブルワー自身からそのビールを作った理由、レシピ、味わいなどを直接聞くことができる。

 多くのブルーパブでは、客席からタンクなどのビール醸造設備が見えるようになっており、ビール好きにはたまらない風景だ。

■明るく女性やファミリーも入りやすい

 最近、大きく様変わりしている街が北千住。JR常磐線、東京メトロ日比谷線、千代田線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス線と5路線が乗り入れている便利な立地であることに加え、この12年間で5大学の誘致に成功し、商店街も活気づいている。そんな北千住を象徴するかのように、大いににぎわっているお店が、「さかづきBrewing」。北千住の商店街からほんの少し小道に入った場所に、2016年3月オープン。今では、予約がどんどん埋まっていく人気店となっている。

 お店はウッドを基調とした温かい雰囲気の、30席というほどよい空間。そして、店内からは、ガラス窓越しに、ピカピカに磨かれたステンレス製醸造設備が見える。ビール好きにはこれ以上ないと思える素敵な風景が広がっている。

さかづきBrewingオーナー兼醸造長の金山さん

 オーナー兼醸造長の金山さんは、元アサヒビールの社員。大学時代にビールが好きになり、アサヒビールに入社し、醸造の現場と研究および新商品の開発を経験。会社員を辞めて独立しようとした時も、ビール以外は考えられずブルーパブを作ることを決心した。

 「アットホームで、明るくて女性やファミリーも入りやすいお店を目指してます。おかげさまで、お客さんのデータを見ると、どんどん女性比率が上がってるんですよね。うれしいです。ビールはヴァイツェンとペールエールがレギュラーで、季節のビールを3~4種類出しています。季節を大事にしたいので、春はよもぎを使ったセゾンスタイルのビールを作りました」とは、金山さんの言葉。

さかづきBrewingのヴァイツェン

 ヴァイツェンは、フルーティーな香りがしっかりと乗っていて濃厚。口に入れるとふんわりとした甘みを感じ、アフターも長い。液体のパン、食べるビールと言っていいかもしれない。おいしいビールだ。

 そして、「さかづきBrewing」は、フードもこだわっている。キャリア30年のドイツ料理のシェフが腕を振るう料理は、ビールごとに合うものが工夫されている。ビールと料理を同じお店で作ることができるブルーパブならではの醍醐味。

 「さかづきBrewing」は、明るい雰囲気で入りやすく、店内で醸造された季節に合わせたビールが飲め、料理も美味しく大人気のお店である。

●店名:さかづきBrewing
●住所:東京都足立区千住旭町11-10
●TEL:03-5284-9432
●営業時間:
水曜~金曜 16:00~22:30
土曜 13:00~22:30
日曜 13:00~21:30
●休日:月曜・火曜
●席数:30席
●TAP:5~10
●URL:https://www.facebook.com/sakaduki/
※TAPの項目はビールサーバーの注ぎ口の数

■毎週違う種類のビールを造る

 京王線の各駅停車だけが止まる国領駅から、5~6分ほど歩くと、甲州街道(国道20号線)沿いに、「調布ビアワークス」がある。

200リットルの醸造タンクを持つ調布ビアワークス

 醸造タンクは200リットルの大きさ。この写真は、醸造所内で撮ったものだが、店内からもガラス窓越しに醸造設備が見える。

 調布ビアワークスは、基本的に毎週1回、水曜日にビールを醸造している。しかも、毎回違うレシピで。醸造を始めてから1年10カ月で100種類以上のビールを醸造しているとのこと。週に1回通えば、毎回違うビールが飲めるというわけだ。そんな理由で常連さんは、毎週、必ず来てしまうとか。さらに、調布ビアワークスのすごいところは、常連さんがビールの材料を持ってくること。例えば、宮崎の日向夏、宮古島の黒糖、山梨の白桃、近所の農家で採れた干し柿。そんな材料をオーナー兼醸造長の池森さんに預けると、1カ月後には、ビールになる。それが、またおいしいのだ。

調布ビアワークスオーナー兼醸造長の池森さん

 池森さんは、20年以上のキャリアがある料理人。ビールのレシピは、料理のように材料の相性や組み合わせを考えて決める。調布ビアワークスのビールは、非常にクリアで雑味が少なく、麦芽、ホップ、フルーツやスパイスなどの原料の味わいがきれいに出た仕上がりとなっている。そして毎回、違うレシピなので、調布ビアワークスで飲むビールは、一期一会。

調布ビアワークスの●●●●

 常連さんが多いお店だが、とてもアットホームで和やかな雰囲気なので初めての人でも大丈夫。様々な材料がビールになることを教えてくれる調布ビアワークスは、是非、行ってみてほしいお店だ。

●店名:調布ビアワークス
●住所:東京都調布市国領町 2-15-8
●TEL:042-430-1088
●営業時間:火曜・木曜・金曜 17:00~23:00
土曜 17:00~22:00(土曜はアルバイトが担当)
●休日:月曜・水曜・日曜 (祝日は不定)
●席数:スタンディング 10人
●TAP:3
●URL:
https://www.facebook.com/%E8%AA%BF%E5%B8%83%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9-795556343895382/

■スタンダードも個性的なビールも

 東京メトロ半蔵門線の押上駅と錦糸町駅の中間で、やや押上駅よりにあるのが「Miyata Beer」。店内は、7席+スタンディングという、とてもコンパクトなお店。カウンターの向こうには、ガラス越しに醸造タンクが見えるという、小さなブルーパブの代表的とも言えるスタイルだ。

「Miyata Beer」。カウンターからガラス越しに醸造タンクが見える

 オーナー兼醸造長の宮田さんの理想は、レギュラーのビールはスタンダードなスタイルで、するすると何杯でも美味しく飲めるものを提供し、シーズナルでは、特徴のあるフレーバーを持つ副原料を使用したビールを造り、違う味わいも楽しんでもらうこと。

Miyata Beerオーナー兼醸造長の宮田さん

 訪問した際も、ゴールデンエール、ペールエールのスタンダードなビールに加え、ハイビスカスを使用したビールがあった。ゴールデンエールは、ホップの爽やかな香りが主張しすぎず、苦味もマイルドでバランスが良く、飲み飽きない。デイリーに飲みたいおいしいビール。

Miyata Beerのゴールデンエール

 「Miyata Beer」は、ふらりと寄って気楽に1杯だけ立ち飲みで飲んだり、気が向いたらオーナーにビールの事を聞いてみたり、とても使い勝手の良いお店。スタンダードなビールに加えて、風変わりなフレーバーを持ったクラフトビールも飲め、ブルーパブの楽しさが存分に味わえる店である。



●店名:Miyata Beer
●住所:東京都墨田区横川3-12-19 松井ビル一階
●TEL:03-3626-2239
●営業時間:
金曜 17:00~23:00
土曜・日曜・祝日 15:00~23:00
●休日:月曜~木曜
●席数:10席(+スタンディング)
●TAP:最大5個
●URL:http://miyatabeer.com/
川野亮
 2011年5月にクラフトビールのおいしさに目覚める。それを多くの人に伝えたいとWebサイト「クラフトビール東京」を開設。東京近郊のクラフトビールの店を紹介し続けている。

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