商店街の鉄道館、存続か移転か…いったん休館案 – 読売新聞



 「鉄道のまち」をPRする拠点として京都府福知山市中心部の商店街に開館し、来年20周年を迎える福知山鉄道館ポッポランド(福知山市下新町)が、今後の存続に向け、岐路に立っている。

 施設が入る昭和初期の建物の耐震性が課題となっているためだが、賃貸のため市が改修するのは難しく、移転先の見通しも立っていない。現在地での存続か移転か、さらには休館か。検討を進める市は対応を迫られている。

 同市は、旧国鉄時代に府内で唯一、鉄道管理局が置かれ、現在もJR西日本福知山支社がある。JR山陰線と福知山線が交わり、京都丹後鉄道宮福線の起点にもなっている。

 同館は、鉄道とともに発展してきた同市の発足60周年を記念し、翌年の1998年に新町商店街で開館。30年代に百貨店として建てられ、戦後は銀行などに利用されてきた5階建ての建物を市が借り受けた。1階部分(約300平方メートル)で、かつて市内を走った北丹鉄道の資料や蒸気機関車の動輪、ジオラマなど500点以上を展示している。

 運営は商店街の組合が担ってきたが、2014年からは西日本鉄道OB会福知山地方本部(約4800人)が受託。小規模な施設ながら、元SL機関士らが豊富な知識をいかした解説を行い、専門書を備えた憩いの広場や玩具のプラレールを置いた子ども向けコーナーを新設。13年度に1万人を切っていた年間入館者は、昨年度には約1万7000人まで回復した。

 一方、築約80年の建物は老朽化が進み、全国から訪れる来館者の安全を確保するため、耐震性が喫緊の課題に。市は当面、建物の賃貸借契約を更新する方向だが、移転を含めた検討を始めた。

 ただ、中心市街地では展示スペースを備え、財政面での負担が増えない移転先の確保が難しく、今のところ具体化していない。このため、今年度末でいったん休館し、移転先が決まった後に再開する案も出ている。

 また、長年、商店街で親しまれ、建物にも独特の味わいがあるだけに、現在地に愛着を持つ市民も多い。近くには蒸気機関車を展示する「2号館」もあり、商店街関係者は「中心市街地は空き店舗も増えている。移転や休館となると、活性化の機運に水を差しかねない」と懸念を示す。

 運営を担うOB会の高齢化も進む中、足立和義館長(78)は「鉄道は福知山の発展を支えてきた宝。市民の力で守ってきた施設の灯を消さないでほしい」と強調。市は「来館者が安心して楽しめる『鉄道のまち』ならではの施設としてのあり方を考えたい」としている。(森秀和)




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