「地域おこし協力隊」登用に一工夫 館山はインターン制 いすみは最多人員で連携図る – 産経ニュース



 過疎化などに悩む地域で活性化活動に取り組む「地域おこし協力隊」の登用に、県内の自治体が試行錯誤を重ねている。制度の目的である定住促進に結びつかないケースも目立つ中、館山市では隊員と地域が方向性や相性などを事前に確認する「マッチング」に向け、県内では初となるインターンシップを実施。いすみ市は県内最多の隊員を招き入れ、連携力を生かして実績を積み上げている。制度開始から8年が経過し、地域ごとの特色が表れ始めてきた。

 総務省によると、平成28年度は全国11府県875市町村で計約4千人が地域おこし協力隊に参加。県内では5市町で活動している。

 隊員の任期は原則最大3年とされ、期間が過ぎると隊員が地域から離れてしまうことが悩みの種となっている。全国的にも定着率は6割程度と、定住に結びつかない現状が浮かび上がり、各自治体は人材の確保や活用方法に試行錯誤している。

 館山市でも23年から10人に隊員を委嘱したが、定住に結びついたのは4人にとどまるという。原因について同市は、隊員が思い描いていた活動と実態との間にギャップを感じたり、地域生活に溶け込めなかったりするなど、人材と地域のマッチング不足にあると分析。これを解消するため、事前に隊員志望者が地域活動を体験するインターンシッププログラムを今月から実施した。

 プログラムには7人の志望者が参加し、市内の水産加工業者や農園、養蜂園などを訪問した。今回募集する隊員は、ふるさと納税に関する業務にあたることから、返礼品提供事業者と接することで、志望者の反応を見ながら選考の判断材料にするという。市企画課は「志望者、市側ともにミスマッチを減らすことができる。隊員の定住率アップにもつながれば」と効果に期待する。

 いすみ市は、首都圏最多と見られる17人の隊員が次々と企画を生み出し、実現している。市企画政策課の担当者は「地元からは出ないアイデアが、隊員同士の連携で生まれる。隊員数が多いことも強みの一つではないか」と手応えを語る。

 市内の元プール施設を共同オフィスに改装するプランでは、一級建築士の資格を持つ隊員が設計を担い、隊員同士でアイデアを出し合いながら、地域の仕事拠点となる「hinode」を今年5月に完成させた。このほか急増する特定外来生物「キョン」の革を使った靴の開発とブランド化や、市自慢の星空を活用した観光ツアーなども実現した。

 一方、勝浦市では25年に招いた隊員が市内に定住したことなどから、その後は隊員を募集していない。だが、朝市の企画やフィルムコミッションの活用といった観光面の活動で、新たな隊員の力を借りようという気運が高まっている。

 市観光商工課によると、前任の隊員も定住促進活動などに大きく貢献したといい、同隊にかける市の期待は高い。同課は「まだ構想段階だが、新規隊員の募集を前向きに考えていきたい」と話している。(中辻健太郎)

                   ◇

【用語解説】地域おこし協力隊

 地域の活力創出に向けて総務省が平成21年に制度化。地方自治体が地域外の都市住民に隊員を委嘱し、地元の農林水産業やプロモーション活動への従事を通じて地域への定住促進を図る狙いがある。




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す