蹴鞠からサッカーへ なでしこも祈願したパワースポットとは? – AERA dot.



熊野那智大社の八咫烏

熊野那智大社の八咫烏

熊野本宮大社の境内にある八咫烏

熊野本宮大社の境内にある八咫烏

新宿十二社熊野神社のやたがらす守

新宿十二社熊野神社のやたがらす守

葛飾・熊野神社の交通安全ステッカー

葛飾・熊野神社の交通安全ステッカー

 日本サッカー男子が2018年W杯への出場を決めた。今回で6度目となるW杯出場に、夢のように語られていた時代からは、隔世の感さえある。ところで、サッカーファンならずとも、日本代表のユニフォームに必ずついている鳥のエンブレムには見覚えがあるにちがいない。多少のデザイン変更はあるものの、1931年から一貫して描かれているこの鳥のモチーフは、八咫烏(やたがらす)という神鳥である。今回はこの鳥を紹介してみよう。

【新宿十二社熊野神社のやたがらす守の写真はこちら】

●導きの神様として

 八咫烏は、神武天皇の東征(※注)の際、熊野で迷ってしまった一行を道案内した鳥と言われている。史料によって、八咫烏を遣わした神の名が異なるが、日本書紀では天照大神の指示と記されている。これにより八咫烏は道の神、のちに神武天皇が各所で勝利していくことから、勝利への導きの神とも言われ、はるか昔から信仰の対象となっているお遣いである。

●世界中に広がる三足鳥伝説

 八咫は大きい・広いという意味を持つ言葉であり、簡単にいえばヤタガラスとは「大きなカラス」を意味するわけだが、「大鴉」と簡単に記すよりはたしかに神秘的な響きがある。最大の特徴は足が3本あることで、羽を大きく広げた図案で描かれることが多い。

 実はこの3本足の神鳥というモチーフは、世界のいくつかの神話に残されている。たとえば中国では太陽に住む鳥で、太陽の象徴として、エジプトの壁画や高句麗の古墳にも三足鳥の姿が見える。

 また、ギリシャ神話では太陽神・アポロンの遣いはカラスであることも、太陽を神格化した神・天照大神が八咫烏を遣わしたこととの類似性を感じさせる。

●熊野神社の象徴・ヤタガラス

 神武天皇を案内した場所が熊野だったためか、現在、八咫烏は熊野神社の象徴ともなっている。熊野神社の本社でもある和歌山県の熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3社のことであるが、2004年に登録された世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部を構成している。

 東京で八咫烏を見つけるのはなかなか難しいが、熊野三山にはそれぞれ違ったデザインの八咫烏が随所に見られる。

●日本サッカーとの関係は

 ところで、サッカーと熊野の関わりはかなり古い。平安時代には、蹴鞠(けまり)の名人が上達を祈願して熊手詣をし、名技を奉納したとの記録が残っている。

 近代サッカーに八咫烏が取り入れられたのは、サッカーの父とも呼ばれる中村覚之助氏の出身地にある熊野那智大社のシンボル・八咫烏から着想を得たものだという。ボールをゴールに導くこと、勝利への導きという思いが込められた図案が作られたのが、大日本蹴球協会(日本サッカー協会の前身)の創設の年、1931(昭和6)年のことだ。

 最近では、サッカーのみならずさまざまな勝負の前に熊野神社を訪れる人が多いと聞く。東京新宿にある新宿十二社熊野神社の「やたがらす守」は、2011年W杯で優勝した「なでしこJAPAN」が祈願に訪れた神社として知られている。また、交通安全や失せ物が見つかるとの話も広まり、八咫烏と熊野神社は全国各地で人気上昇中のお宮なのだ。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

(※注)のちに初代天皇となる神武天皇が、大和(現在の奈良)を征服し即位するまでを描いた日本神話。

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