テロの傷癒やす日本の伝統技法 – 産経ニュース



 昨年12月19日夜。おのずと足が向かったのはベルリン中心部ブライトシャイト広場だった。クリスマス市にトラックが突入したテロから1年。現場となった広場に立つカイザー・ウィルヘルム教会わきで行われた追悼ミサに加わるためだ。

 教会に続く階段には追悼のため犠牲者12人の氏名が記された。参列者とともに階段にロウソクをそなえると、犠牲者の名の間を縫うように、階段下から走る金色の筋に気づいた。これも追悼の一部。関係者は「日本の伝統技法にヒントを得たものだ」と説明した。

 ヒントになったのは「金継ぎ」。器のひび割れや欠けた部分を漆で接着し接着部分を金で装飾する修復技法だ。茶道が盛んとなった室町時代に始まったといわれ修復するだけではなく、その芸術的な価値も認められるようになった。

 難民を装った男によるテロは犠牲者や遺族を引き裂き、難民政策をめぐり社会に亀裂を残した。約8メートルに及ぶ筋が表すのは、そんな傷だ。治癒すればなくなるが忘れてはならない。「癒やされても記憶にとどめられる傷」。発案した芸術家はこう狙いを語った。

 テロの「傷」を癒やすだけでなく、さらなる社会の発展につなげたいとの思いも伝わる。現場付近は観光名所の一つ。お越しの方にはぜひ、ご覧いただきたいと思う。(宮下日出男)




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