【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】女心つかんだ「味」と「戦略」 25年前から手がけていた化粧品開発やアンテナショップ – ZAKZAK



★石川県「福光屋」(下)

 福光屋(ふくみつや)は、金沢最古の酒蔵だ。「微生物ファースト」がモットーで、人の都合よりまず微生物に合わせて酒づくりを行うため、蔵人は泊まり込みの仕事も当たり前。

 その一方で、理科系の専門技術をもった職人たちは、最先端技術で商品開発や微生物管理を行っている。

 酒はすべて純米酒で「旨くて、軽い」のが特徴。地元で愛されている「福正宗(ふくまさむね)」、キリッと辛口の「加賀鳶(かがとび)」、旨口の食中酒「黒帯」など、いくつものブランドを展開している。

 福光松太郎社長は、地元経済界のリーダーで、日本酒造組合中央会の重鎮。その発想はユニークだ。今でこそ、酒蔵が化粧品を開発したり、アンテナショップをつくったりすることは珍しくないが、それを25年も前に手がけたのである。

 当時、日本酒の消費者が高齢化し、消費は伸び悩んでいた。若い男性に売ろうとしても、タカラやサントリーのCM攻勢に勝てるわけがない。そこで目をつけたのが女性だった。

 「味や香りに敏感なのは、男性より女性です。彼女たちをターゲットに、器や小物も含めて、日本酒文化のある暮らしをトータルに提案することにしました」

 銀座のアンテナショップへ行ったことがあるが、女性らしさや、金沢というローカル色は一切なかった。その女性に媚びない姿勢が、かえって女性たちの心をつかんだのだ。今や「SAKE SHOP福光屋」は、東京と金沢に6店舗。来店者の85%が女性だ。

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